バイトに行く3分前。スマホをいじっていた私に飛び込んだニュースは、働くやる気なんて全くでなくなる、眩しくて残酷なものだった。
嗣永桃子が来年6月に芸能界から引退する。
現在カントリー・ガールズでプレイングマネージャーを務める、ももち こと嗣永桃子は、元々はBerryz工房だった。もっと遡れば、ハロー!プロジェクトキッズだった。
Berryz工房が無期限の活動停止に入る際、桃子だけが、アイドルを続けるという道を選んでくれた。ハロプロキッズを、ベリをデビューの頃から好きでいた私にとって、それがどれだけの救いになったか。
アイドルが女優になっても、モデルになっても、裏方の様なことをしていても、勿論好きで応援するのに変わりはないが、"アイドルであること"は、彼女達を好きな原点であり、何よりも思い入れがあって、かけがえのないもの。
アイドルでいてくれるだけで、ヲタは嬉しい。
しかし、彼女はそのアイドルを退く道を、ついに選択してしまった。
桃子の卒業で、ハロー!プロジェクトキッズは本当に形をなくしてしまう。℃-uteが解散すると同じタイミングでの決断は、ベリキューもとい、ハロプロキッズの彼女達が、本当に大人の女性になることを意味しているのか。
℃-uteの解散も勿論ショックだった。しかし、彼女達は、慣れ親しんだ芸能界で、一人一人大人の女性として自立する道を選んだ。彼女達の頑張りを、これからも目に見える形で応援することができる。しかし、桃子は違う。ただの卒業でも休業でもない。引退、すなわち、みんなの目に見える所で生きることをやめるのだ。約15年、幼い頃からいた世界をすっぱりと退く桃子の決心は、眩しくて、とても残酷だ。
ハロプロキッズは、私にとってただの憧れではなかった。モーニング娘。デビュー時から、ハロヲタをしている私にとって、他のハローのメンバーははるかに年上のお姉さん。勿論憧れの対象ではあるが、次元が違う世界の人達だった。
しかし、2002年。キッズオーディションに合格した彼女達は、私と全くの同世代。現℃-uteの萩原舞ちゃんにいたっては、1つ年下の女の子だった。羨ましかった。自分の望んだ世界で、自分と年の変わらない女の子達が、頑張っている。言葉には表せないけど、憧れ以上の気持ちで、彼女達を見ていた。大好きだった。*1
桃子がカントリー・ガールズをいつか卒業することは、最初から見えていたことだし、驚くことはない。そして、子どもが好きで、大学時代に幼稚園や小学校の教員免許を取得していたのも知っていた。この2点で、この未来は全く想像していなかったことではない。むしろ、想定内も想定内だ。
しかし、彼女ほどアイドルの才能に満ち溢れていて、バラエティでも活躍していた子は、今までのハローでもなかなかいない。そんな子が、辞めてしまうことを想像していなかった。矛盾するけど、本当にそうなのだ。
このショックをどこに持っていけばいいのか。
どうやって、ハローと接していけばいいのか。
許してにゃん体操を聞いて泣きじゃくる日がくるなんて夢にも思ってなかった。
でも、そんなことをうじうじ言っていても、世界は回るし、明日は来るし、新しい推しやグループもきっとできる。
あなたなしでも生きていかなきゃならない。
それが現実だ。それだったら、あなたがいなくなるまで、何ができるか。それを考えて、生きていこう、そうやって思ってはいる。
けど、あともう少し、あなたたちを思って泣かせてください。